その日はもうすぐ3歳になる娘と柑橘類や大島トマトの食べ比べ。
農産事業部の仕事上、なかなか休みも取れないので子供にとっては就寝直前の夜9時から
の開始となった。
『清美』『マーコット』『不知火』『温州』『日向夏』『甘夏』『河内晩柑』の順で食べていっ
た。後に行くほど酸味も増していったが、いずれも糖度は11~14度と高く、外観ともにレ
ベルは高い。
最後に大島トマト。糖度は10度で立派なフルーツトマトである。
味は濃いので、美味しさでは日向夏と甘夏の間くらいと感じていたが、娘のフォークは止
まっていた。
「こっちの方が甘いからトマトまだ食べてみる?」
「※もう食べてみらん」
最近唇が荒れているらしく、そう言えば甘夏くらいから酸味が強くやや食べづらそうだっ
た。
大島トマトはファーストという種類のトマトを使っている。桃太郎などと比べると酸味が
あり、ゼリー部分も少ない。そのため、甘味と酸味のバランス、粘質の食感が美味しいの
だが、最近は、「甘い=美味しい」であり、まして子供には酸味は嫌われる。イチゴがいい
例である。やっぱり甘いだけがいいのか・・・。
酸味と旨味が分からないとは「子供め」と思ってはみたものの、苦労して栽培しているだ
けに、『口にしみるトマト』と言われるとやはりショックであった。
※「もう食べてみらん」→「もう食べない」の意味