造船技術
Technology

ゼロエミッション社会の実現のため、環境性の高い最先端技術の
研究開発を行い低炭素社会に貢献しています。

大島造船所では、地球環境を大切にするという経営理念のもと、環境保護の観点から様々な取り組みを行っています。模型試験やシミュレーション技術を駆使し最新鋭の船型を開発することにより、低燃費でCO2排出量が少ない船舶を提供しています。また、将来的なゼロエミッション社会の実現のため、環境性能の高い最先端技術の研究開発を行い、成果を船舶に適用することで、低炭素社会に貢献しています。

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技術紹介

ウインドチャレンジャー

ウインドチャレンジャー

ウインドチャレンジャー

2022年10月7日、ウインドチャレンジャーを搭載した船舶を世界で初めて竣工させました。ウインドチャレンジャーとは伸縮可能な帆(硬翼帆)によって風力エネルギーを船の推進力に変換する装置で、船舶に搭載することで航行燃料の削減を通じ環境負荷の低減と経済性の向上が期待できます。2009年に東京大学が主宰する産学共同研究プロジェクトとして研究開発が始まり、2018年1月以降は大島造船所と株式会社商船三井が中心となって開発を進めてきました。

本船は株式会社商船三井が運航する石炭輸送船で、ウインドチャレンジャーの搭載による温室効果ガス削減効果は、従来の同型船と比較し日本-豪州航路で約5%、日本-北米西岸航路で約8%を見込んでいます。

LNG燃料船

LNG燃料船

LNG燃料船

LNGは、従来の舶用燃料油である重油に比べ、硫黄酸化物(SOx)については約100%、窒素酸化物(NOx 希薄燃焼)については約80%、二酸化炭素(CO2)については約30%の排出削減を見込める環境負荷の低い次世代燃料です。大島造船所では2023年度中の竣工に向けてLNG燃料石炭運搬船を建造中であり、これに続く2隻目・3隻目のLNG燃料石炭運搬船の建造も予定しています。

本船の特徴は、大きなLNG 燃料タンクを上甲板に配置し、居住区形状を“コ”の字型にすることで、LNG 燃料タンク搭載による貨物倉の容積の減少を最少化していることです。本デザインは2015年にDNV・GL(ノルウェー・ドイツ船級協会)から基本承認(AIP:Approval in Principal)を取得しました。

アンモニア燃料船

アンモニアは燃焼時にCO2が発生しないため、完全ゼロエミッションを達成しうる次世代燃料の一つとして注目されています。

大島造船所は、住友商事株式会社と共同でアンモニア燃料船の開発を進めており、2022年12月には、国際的な船級協会であるDNVより基本設計承認(AiP;Approval in Principle)を取得しました。現在、住友商事およびDNVをはじめとする関係者と協働し、アンモニア燃料船のさらなる設計最適化に取り組んでいます。

アンモニア燃料船

日本初の完全バッテリー駆動船「E/V e-Oshima」

日本初の完全バッテリー駆動船「E/V e-Oshima」

日本初の完全バッテリー駆動船「E/V e-Oshima」

CO2などの温室効果ガスやNOx、SOx等の大気汚染物質のゼロエミッションを目指し、大容量リチウムイオンバッテリー(600kWh)を搭載した完全バッテリー駆動船「E/V e-Oshima」を開発しました。高効率な電気システムとして、商船としては日本で初めて、直流送電網方式(DC Grid方式)を採用することで、バッテリーから推進モーターや客室のエアコンなどへの電気変換ロス(DC→AC変換)を極限まで少なくしています。また、本船には自動操船システムを搭載し、他船との衝突防止のための自動避航や、座礁防止のための自動避航機能が備わっています。本システムを用いた実証運航は、国土交通省の「自動運航船実証事業」の一つにも選定されています。

本船は船特有のエンジンからの騒音・振動が一切無く、バッテリー駆動船ならではの静かで快適な船旅を実現しました。

なお、本船は「シップ・オブ・ザ・イヤー2019」、「グッドデザイン賞2019」、「九州運輸局局長表彰(環境保全部門表彰)」を受賞しました。

空気潤滑法(Air Lubrication)

空気潤滑法(Air Lubrication)

空気潤滑法(Air Lubrication)

主機掃気バイパスを利用した空気潤滑システム(気泡流による船体摩擦抵抗低減装置)を世界で初めて大型外航船舶に実船搭載しました。搭載した船舶は日本郵船株式会社向けの9万トン級ばら積み貨物船”SOYO”「双洋」で、載荷喫水に応じて、3~8%のCO2削減効果を実現しています。

本システムは、高効率過給機がつくり出す主機掃気(燃焼用圧縮空気)の余剰分を取り出し、掃気バイパス管で船底まで導くことで、空気潤滑に利用する高効率型空気供給システムで、船底への空気投入に必要なエネルギーを極少化しています。

本船は、「H24年度地球温暖化防止活動 環境大臣表彰」を皮切りに、「シップ・オブ・ザ・イヤー2012」、「2013年日経地球環境技術賞最優秀賞」、「第10回エコプロダクツ大賞」を受賞しました。

MAITAプロペラ

MAITAプロペラ

MAITAプロペラ

大島独自のプロペラ設計技術により、船1隻毎に最適設計を行い、推進効率を極限まで高めたプロペラです。これまでに200隻以上の実績があり、今後も更なる高効率化を目指していきます。