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当社概況について記者会見を行いました

2025年9月4日に当社経営陣による記者会見を行いましたので、概要をお伝えいたします。

1.はじめに

2022年12月に取得した香焼工場では、昨年7月に第1番船を引き渡し、本年も順調に建造が進んでいます。昨年度は年間3隻の建造でしたが、今後は徐々に増産に向けて検討を進めてまいります。日本は造船業の国際競争力復活を目的に、国策として各種施策を進めようとしています。当社としてもこの動きに呼応し、生産体制を強化することで、日本の造船業の再興に貢献していきたいと考えています。
本年4月のMEPCにおいて、GHG削減に向けた中期的な施策が示され、今秋の正式採択に注目が集まっています。新燃料の方向性はなお不透明ではあるものの、当社としては、将来を見据えた技術開発を重要課題と位置づけ、取り組みの一層の強化を図ってまいります。足下では、3隻目となるLNG燃料船の建造をおこなっており、本船には当社初の内製化タンクの搭載が予定されています。アンモニア船建造の商談も進んでおり、その技術開発についても継続して取り組んでまいります。また、当社建造の中心となる中小型バルクの分野においては、当面は従来燃料船の発注も想定されることから、従来燃料における燃費性能の向上を目指した技術開発にも引き続き取り組みます。
本年7月、新たに長崎市と「造船関連産業の振興」「カーボンニュートラル社会の実現」「地域コミュニティの活性化」を目的とした連携協定を締結しました。人員の不足感は恒常的なものになりつつあります。こうした連携を通じて、造船業が内外に広く認知され、造船業の将来を担う人材の確保に繋がることを強く願っています。

2.業績と受注状況

2024年度の決算は、円安基調の継続および受注船価の好転等により、前年度対比で増収増益となりました。
2024年度は62隻を受注し、2013年度以来となる年間の受注量が60隻超となりました。2025年9月4日現在の手持ち工事量は135隻、約3.5年分で、2028年度船台はほぼ完売となっております。今後は2029年度船台の商談について、現在の手持ち工事量を維持する水準を目安に営業活動を進めます。

3.新技術開発、新製品開発への取り組み

新技術開発については、アンモニア燃料焚きバルカーの開発を、顧客と連携しながら進めております。
ウインドチャレンジャーは、パナマックス以上の船型に対応する新たな大型硬翼帆の開発が完了し、現在、香焼工場にて製造を進めております。当社通算3本目となる本帆は、2026年前半に当社建造の就航船へ搭載予定です。さらに、他社建造船に搭載する通算4本目・5本目の大型帆、そして2026年後半に当社が建造・就航予定のLNG燃料石炭船に搭載する通算6本目の大型帆についても、すでに製造を開始しております。
さらに、新船型の開発では、フェーズ3対応船に続き、次世代の64型、82型の設計・開発に鋭意取り組んでおり、次のフェーズにおいても一歩先を行く開発を着実に進めてまいります。

4.香焼工場

香焼工場では、2024年7月に第1番船を引き渡し、これまでに計5隻が完工しており、今年度は4隻の引き渡しを予定しています。当面は、64型や82型の建造を中心に習熟度を高め、生産性向上を図ります。
今後の展開としては、マーケット動向や環境船ニーズ及び人材確保などの外部環境を総合的に見極めた上で建造隻数の増加を検討するとともに、大型LNG燃料タンク内製化を進め、製造ノウハウの蓄積を図ります。浮体式洋上風力事業についても、引き続き複数の具体的商談について検討を進めております。本事業は、経済産業省の「GXサプライチェーン構築支援事業」の採択を受けており、本年度より量産に必要な設備投資を随時実施し、新造船と両立した事業体制を構築して参ります。

5.設備投資

設備投資については、大島・香焼両工場の現行建造量の維持を目的とした更新投資を中心としつつ、昨年度採択を受けた「ゼロエミッション船等の建造促進事業」及び「GXサプライチェーン構築支援事業」に向けた設備投資もあわせて実施してまいります。「ゼロエミッション船等の建造促進事業」では、ゼロエミ船の増産に向けた艤装設備や新燃料タンク生産設備の整備、「GXサプライチェーン構築支援事業」では浮体式洋上風力の量産に向けた設備投資を行ってまいります。

6.人材確保と地域連携

現在の社員数は1,696名。今年度は47名の新入社員が入社しました。来年度は54名の採用を計画しています。
長崎県内における労働人口減少の問題は深刻化しており、外国人や中途採用、CMや各種就職チャンネルの積極的な活用が不可欠となっています。
昨年度の長崎県・西海市との連携に続き、今年7月に長崎市と連携協定を締結しました。本協定を通じ造船関連産業の振興や地域活性化、地方創生に貢献してまいります。また、九州大学や長崎大学と産学連携を継続し、寄附講座や共同研究を通じて次世代人材の育成と技術発展を推進していきます。
働きやすい職場づくりとしては、男性の育児休業取得率を35.4%にまで高めたほか、熱中症対策や福利厚生関連施設の拡充を進めています。

以上