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当社概況について記者会見を行いました

2024年9月5日に当社経営陣による記者会見を行いましたので、概要をお伝えいたします。

1.はじめに

2022年12月に香焼工場の取得が完了し、大島の複数工場体制が始まりました。その後1年半、着々と準備を進めてきた香焼工場の第一船が2024年7月に竣工しました。今後は更なる能率改善を進め、より良い船を作ることで地域・社会への貢献に繋げていきたいと考えています。
業績に関しては、2022年度までは鋼材の急騰による採算悪化に苦しめられましたが、2023年度は受注船価の好転及び諸費用の削減に努めた結果、黒字への転換を達成することができました。2024年度以降についても、為替や材料費の動向には注意が必要なものの、受注環境が堅調に推移してきたこともあり、当面は安定した工場運営が可能な計画となっています。
当社は香焼工場の操業開始や大島工場隣接地取得など新たなステージを歩き出しています。社内においては2024年6月より山口新社長体制がスタートしました。新体制の下、従来同様「環境対応船の開発」や「全社的なコストダウン活動」を推進するとともに、香焼工場の活用など更なる成長に向けた戦略の実現を目指し、経営基盤の強化に努めてまいります。

2.受注状況と新造船マーケットの見通し

2023年度の新造船受注隻数は48隻でした。同年度の引渡隻数は37隻であり、1年分の建造量を上回る受注を進めたことになります。2024年9月5日現在の手持ち工事量は139隻となっています。
2027年度船台は完売となっており、現在2028年度船台の商談を進めています。新造船受注環境は、当面堅調に推移していくものと見ていますが、一方で現在商談の中心である2028年度船台では、納期が遠すぎる事に対する警戒感から、受注速度は現状より低下することも予想されます。受注に際しては、引き続き資材コスト等の上昇リスクも残されているため、将来の採算レベルを慎重に見極めつつ進めていきたいと考えています。
また、従来からお付きあいのある国内外のお客様との強固な関係は継続しつつ、2023年度に開設したロンドン事務所と連携しながら、新規顧客開拓にも取り組んでまいります。

3.香焼工場の今後の展開

2023年7月より新造船建造を開始し、2024年7月に第1番船の引渡が完了しました。後続船の建造も順調に進んでおり、当面は年間3~4隻の引渡を予定しています。初期の操業において、作り慣れた船型の建造により習熟度合いを高めた後、中期的(2028年以降)には、徐々に増産の方向で検討を進めてまいります。増産隻数や船型についてはマーケットや環境船ニーズの動向及び人材確保などの外部環境を見極めた上で判断していきます。
香焼工場においては、計画に沿った建造を着々と進めながら、新たな実績データの積み上げを行い、積み上げたデータから香焼工場の特性を見極め、大島工場、香焼工場間における最適な建造体制を構築していきます。具体的には、艤装作業が増える新燃料船対応や設備投資計画の精査を実施の上、会社全体で最適な生産性となる方法を検討してまいります。
新造船以外では引き続き、タンク製造、浮体式洋上風力などの検討を進めています。タンクは既に製造を開始しており、2024年に当社のLNG燃料船向けの1基目が完工予定です。その後も、自社受注船向けに製造をしていく予定です。浮体式洋上風力については具体的なお声がけも頂いており、市場動向を注視しつつ、採算性や社内事情を考慮して、より効率的な浮体製作方法の検討を進めていきます。

4.脱炭素化に向けた技術開発、新製品開発への取り組み

昨年、MEPCにおいて国際海運におけるGHG排出削減目標「2050年ゼロ」が合意されました。海上物流の脱炭素化・環境負荷低減に貢献するため、引き続き舶用メーカーと協力しながら、新燃料船を含む研究開発努力を継続してまいります。
2023年度に当社としては初めてLNGを主燃料とするばら積み船を日本郵船株式会社殿向けに引き渡しました。同社からは現在2隻目、3隻目も発注いただいており、3隻目には内製した燃料タンクを搭載予定です。更に、株式会社商船三井殿から新造1隻の契約もいただいており、2026年末までに当社出来のLNG燃料船は4隻竣工する予定です。
アンモニア燃料船については、アンモニア燃料焚きスープラマックスの開発を進めています。配置設計は既に完了し、現在メーカーおよび機器の選定や安全対策の詰め、HAZIDの準備など着々と検討を進めています。
風力利用による燃費改善技術の開発にも注力しており、2024年7月に硬翼帆搭載船としては2隻目となるウルトラマックスを引き渡しました。本船にはウルトラマックス以下の船型に適したサイズの硬翼帆を新たに開発し搭載しています。2028年までに6隻のハンディサイズ、ハンディーマックスへ同型の硬翼帆の搭載を目指しています。並行し、パナマックス以上の船型に適したサイズの硬翼帆の改良を進めており、2025年後半に弊社にて建造した就航船へのレトロフィットを計画しています。また、ローターセイル搭載船の設計にも着手しており、複数隻への搭載が決定しています。

5.人員計画・採用計画

現在の社員数は1,625名。今年度は45名の新入社員が入社しました。来年度は54名の採用を計画しています。
長崎県内における労働人口減少の問題は深刻化しており、労働力不足への対応は引き続き重要な経営課題です。当社は2024年5月に長崎県と、7月に西海市との連携協定を締結しました。この連携を通し、地域活性化や地方創生の推進に協力することで、企業プレゼンスの向上を目指すとともに、造船業の人材の育成・確保に取り組んでいきます。また、引き続き、中途採用の継続やCM・各種就職チャネルの活用など積極的な対応をとっていきます。

以上