橋梁の製作工程
Bridge Building Process
橋梁が出来るまでの一般的な流れと、各工程(作業)の紹介をします。
橋梁が出来るまでの流れ
工場作業工程
1. 設計
設計計算書、設計図面等の整合性の確認とともに、各設計基準書等を満足しているかどうかの確認を行います。相違点や変更が必要な場合は、発注者と協議を行って、図面を修正・変更をします。詳細設計を行う工事もあります。
2. 生産情報作成
設計図は、橋梁完成時の形状・寸法で示されており、製作にあたっては自重によるたわみや溶接による収縮・ひずみ等の影響を考慮する必要があります。設計図を元にこれらを考慮した生産情報(切断や孔明けなどのNC加工データ、製作上の各種管理帳票等)を作成します。
3. けがき
鋼材表面に部材の取付位置や符号などの組み立て作業に必要な情報をNC制御により記入します。
4. 切断
NC切断機で鋼板を切断します。鋼板の厚さや切断精度に応じて、切断方法(レーザー、プラズマ、ガス)を使い分けています。
5. 孔明け
鋼橋の現場継手は高力ボルトで接合するのが一般的です。その高力ボルト接合部の孔をNC孔明け機で孔明けを行います。
6. 組立・溶接
切断された鋼板をI桁や箱桁形状に溶接で組立て行きます。溶接は鋼板や溶接材料を熱で溶かして、一体化させる接合方法です。
7. 非破壊検査
溶接後は目視等による外観検査や超音波探傷試験等により、溶接の外部および内部に品質を低下させる傷などがないかを確認します。写真は超音波探傷試験の状況です。
8. 仮組立
製作が完了した各部材を、工場で橋梁全体もしくはその一部分をつなぎ合わせる(仮組立する)ことで、所定の精度・形状が確保されているか確認を行います。仮組立は実物を組み立てる実仮組立と、3次元計測した部材寸法データをコンピューター上で組み立てるシミュレーション仮組立があります。
9. 工場塗装
橋梁(鋼材)の錆びを防止するために塗装を行います。一般的な外面部の塗装では、下地に耐食性、下塗りに遮断性、上塗りに耐候性の優れた塗料を使っています。
10.輸送
工場製作が完了した部材を一般的にトラックまたはトレーラーに載せて現地へ運びます。現地が離島などの遠方の場合は、鋼船や台船を用いた海上輸送を行います。
架設現場作業工程
1. 現地調査
下部工状況、架空線・地下埋設物等の有無と位置関係、架設ヤード・資材の搬入路などの現場地形の状況を調査します。
2. 架設計画
現地調査結果を踏まえて、架設順序やクレーンおよびベント等の架設設備の配置を検討し、架設計画図を作成します。施工時の安全性・施工性を考慮して、クレーンの選定および架設設備の計画を行います。
3. 準備工
架設ヤードおよび資材搬入路の整備などを行います。写真は資材搬入路を整備している状況です。
4. 架設工
工場から輸送された部材(鋼桁)を架設ヤードで組み立て、クレーンで架設します。橋が供用中の道路を跨ぐ場合は、交通量が少ない夜間などに道路を通行止めにして架設を行います。
5. 継手工
部材を2枚の連結板で挟み高力ボルトで締め付けていきます。部材と連結板の接触面に生じる摩擦抵抗によって部材がつながった状態となります。
6. 現場塗装工
高力ボルトや連結板を工場塗装と同様の塗料を使って塗装を行います。
7. 床版工
一般に自動車等が直接載る床版部分には、鉄筋コンクリートが用いられます。コンクリート床版は、鋼桁上に型枠を設置し、鉄筋を配筋したあとにレディーミクストコンクリートを打設して作ります。
8. 付属物工
下記のような橋梁付属物を設置します。
- 橋梁用防護柵:車両の橋梁外への逸脱防止と歩行者の転落防止
- 排水装置:道路上の雨水の排水
- 伸縮装置:橋台と橋の接続箇所の安全で円滑な車両走行を確保