大島造船所物語
Oshima Shipyard Story

明るく、強く、面白く。
地域と共に歩んできた大島造船所の物語。

技術を極める(1) – 新船型開発

技術を極める(1) - 新船型開発

大島造船所は、平成3年(1991)以来、「バルクに特化した多数隻連続建造方式」を経営戦略としてきたが、定常型のバルクだけでは、大島の生産に見合った船の受注は不可能なので、バルクを深化・多様化し、持てる技術を総動員して、多種多様な新船型のバルクを開発した。以下の新船型は、最初に商談を開始した時点の記述である。

1)ジャパナマックスの開発
これまでパナマックスはL=225m以下というのが常識であったが、その常識を覆し、初めて常石造船がL=229mのカムサマックスを発表した。当時225mでは無理と言われたDW82000tを達成し、特に海外から多くの受注を果たしたが、国内は依然としてL=225mの制限を気にする傾向もあった。
平成17年(2005)、当社はカムサマックスに対抗するため、パナマックスの225mをキープしつつ、82000tの載貨重量(DW)をもつ世界最大のパナマックスを開発した。
DWを確保するため、性能を確保出来る限界まで船体を太らせ、足りない部分は船尾を拡幅した「バトックフロー」船型を採用した。カムサマックスのネーミングにも対抗し、日本の港湾制限である225mをキープした事もあり、日本向け最大船型のパナマックスという意味を込めた「ジャパナマックス」と名付けた。

2)60BCの開発
平成17年(2005)、今度は当社が他社に先駆けて、世界最大のハンディマックスとしてL=190m未満という制限を超えた200mの60BCを開発した。2006年からのCSR(二重船穀の共通構造規則)発効を控え、CSRを適用してもDW6万トンを確保した。大きな載貨重量(DW)を好む海外船主から大変好評を得て、新規受注だけでなく、受注済みの55型(DW55000t型)を船型変更するなどして数多くの受注を獲得した。当社に対抗して他社も相次いで190mを超えるハンディマックスを開発したため、ハンディマックスからスープラマックス、ウルトラマックスという新たなカテゴリーを生み出す要因にもなった。

3)72OPENの開発
同じく平成17年(2005)にオープンBCオペレータより、大型オープンバルクの引き合いが出てきた。これまではDW5万トン超が最大船型であったが、翌年、一気にパナマックスサイズの7万2千トンとなる世界最大のオープンBCを開発した。パルプに最適化されたホールド配置により、通常よりも3割少ない8ホールドとなり、ハッチサイズも10m近く長いものでありながら、船の全長は25m延長に収めた。そのような仕様から強度面においては技術的にハイレベルな船型であった。

4)ICE-1Aパナマックスの開発
平成18年(2006)にアイスクラス1A(注1)パナマックスの引き合いがあり、開発した。Polar(北極海就航船)の検討は経験があったものの、1Aを実際に設計するのは初めてであった。ルール要求とは別に、1A特有の寒冷地仕様や、塗装仕様などの技術的問題を克服して建造した。就航後、北極海航路を通過した世界初のパナマックスとなった。
注1:船舶が海氷という特殊な条件下で航行するには、氷による圧力に耐えつつ航行できる構造・推進能力を備える必要がある。このような船舶の要件を定めたものがアイスクラス船級である。アイスクラス中で1Aは2番目に厳しい条件のカテゴリーである。

5)72J OPENの開発
幅広の大型J OPENの引き合いが平成21年(2009)にあり、これまでのパナマ幅(注2)のJ OPENの思想を踏襲しつつ、DW72000tで幅を36mとした浅喫水船型として開発した。最大のハッチカバーと大型クレーンの採用により、使い勝手を重視した船型となった。
注2:パナマックスの最大幅は32.3m

6)56BCの開発
60BCの開発後も、L=190m未満の船型は依然として需要があり、新ルールの適用などで他社に比べ見劣りしていた55BCの次世代船として、平成22年(2010)に56BC(DW56000t型BC)を開発した。低燃費を重視した船型であると同時に、機関室、居住区などコンパクト設計を念頭にこれまでの実績をすべて見直した新船となった。

7)82LPXの開発
これまでL=229mのいわゆるカムサマックス型と呼ばれる船型は開発してこなかったが、当社へ開発要望が多く、平成23年(2011)、満を持して開発したのが、82LPX(注3)である。受注した船は短納期且つ膨大な船主要求を受けたが、設計部全体で対応し、大きなDW、低燃費を実現した。
注3:DW82000t、L=229mのパナマックス

8)新60BCの開発
他社のキャッチアップが徐々に現れていた60BCを低燃費型にブラッシュアップした新60BCを平成25年(2013)に開発した。従来の船型とほぼ変わらないサイズで、低燃費を実現するために大直径プロペラを採用。喫水の考え方などを見直し、超低燃費の船型を開発した。

商品の競争力は、技術開発にあり、そのもとは設計部門である。常に新しい技術で顧客を創造し、生産性の高い商品を提供していくことが肝心である。

技術を極める(1) - 新船型開発

技術を極める(1) - 新船型開発