大島造船所物語
Oshima Shipyard Story

明るく、強く、面白く。
地域と共に歩んできた大島造船所の物語。

工作部生産性向上運動 – 「見える化」から「出来る化」へ

工作部生産性向上運動 - 「見える化」から「出来る化」へ

平成22年(2010)から始めたCD30への取り組みも24年(2012)までは順調に推移したが、25年(2013)から、IMO(国際海事機関)によるPSPC(タンク内の塗装性能基準)、CSR(二重船穀の共通構造規則)、船主要求等で難度が高い船の5隻連続建造という大きな困難が待ち受けていた。その対策のため、25年1月から工場長指示の下に体質強化運動(棒心教育)、協力会社の職種別から仕事本位への編成替え、「見える化」活動を始めた。「見える化」活動は全体の8割に当たる職場を123グループに分け、同年5月より開始し、翌年6月まで実施した。これらの活動により、生産性向上は足踏みしたものの、この困難をなんとか乗り切り、難しい5隻の船も無事、船主に引渡すことができた。皆が一丸となって、難しい課題に当たっていった結果である。

年間36隻建造の強みは10日毎(実働7日)に、ほぼ同一作業を繰り返すことにより、組織を細分化・特化して、習熟効果が期待できることである。造船業はプロダクションからコンストラクションまで作業内容が多岐にわたっている。鋼板切断からブロック製作まではプロダクションで、流れ作業となり、生産状況が見えやすい。これは自動車産業に近い流れである。一方、ドックサイドの総組、ドック内工事はコンストラクションで、個人の自己管理(管理の目の届かない)に頼った生産であり、知識・経験・スキルが生産性を左右する。そこで、造船業の特性を把握して、いずれの生産形態でも作業の進捗が一目瞭然とわかるような「見える化」ボードを導入し、品質の安定と生産性の向上への取組を実施した。その結果、次の成果が得られた。
・1週間毎にリーダーズボードを更改して誰にでも見えるようにした。リアルタイムの時数改善がそれぞれの職場の成績として評価され、やる気が増した。
・前後の工程間での連絡が緊密になり全体の利益に寄与した。待ち時間の減少、取付と溶接を合計した時数感覚と、後工程はお客様の思想を身に着けた。
・溶接・ブラスト・取付等の外国人実習生の実態と彼らの導入可能職場と増産時の受け入れ人員を把握できるようになった。但し時数評価方法に検討が必要である。

年間40隻、品質の良い船、CD30という目標達成のため、「見える化」を更に深化させるべく平成26年(2014)8月から「出来る化」運動をスタートさせた。重点活動項目は以下の点である。
・深化=スキルアップ(白帯→茶帯、茶帯→黒帯):作業難度の分類、レーダーチャートを用いたレイティング、ノウハウ・コツの開示、取り組み例として、板曲げ、歪み取り、現場の取付、機器の据付と運転
・平準化(生産システムの組み替え):コンベアラインの工事量の山谷の解消と短縮化
・多能工化(スーパー多能工の育成):セル生産方式(1人で最初から最後までやる)への取組
・楽々化:楽しく(チームワーク)、楽に(ロボット、3次元図面、軽量化)
・言える化:設計へ(改善・誤作)、調達へ(最新情報、納期)

この「出来る化」活動が、持続し発展するために工夫した点は以下のようになる。
・評価制度の透明性と公平性の確立:インセンティブ(年頭・創立記念日の表彰)、目標の見直し
・継続のために維持管理する体制の構築:工場長・工作部長の関心、課長・係長の評価
・CD値の低いグループへの重点指導体制:改善グループ、設計誤作へのクィックレスポンス
・上位10チーム・下位10チームへのパトロールの実施:1ヶ月に2回、横展開をして、賞賛または刺激を受ける

この活動も平成27年(2015)9月の第25回で一巡、成果は以下のようになった。
・リーダーは活動期間内での2回の発表で表現力や説得力が格段に進歩した
・ホワイトボードに表示することで船主監督・資材メーカーの信頼を勝ち取れた
・グループ内の円滑なコミュニケーションの道具として有効に活用できた
・毎週のCD値の変遷をリアルタイムに報告、情報が共有できた
「出来る化」を一段と深化させるために、各チームに「CD30を達成するために何をするのか」の自己宣言を提出してもらい、その進捗及び成果の確認のために同年10月から3巡目の活動をスタートした。

工作部生産性向上運動 - 「見える化」から「出来る化」へ