大島造船所物語
Oshima Shipyard Story

明るく、強く、面白く。
地域と共に歩んできた大島造船所の物語。

部分最適から全体最適へ – 腹蔵なき議論で全社一丸

部分最適から全体最適へ - 腹蔵なき議論で全社一丸

大島造船所は念願の再建を果たし、やっと安定した経営を続けていくことができるようになった。その要因は、バルクへの特化・多数隻建造体制等、先手の経営戦略をとってきたことであるが、それ以上に、いかなる困難に遭遇しても「全社一丸」で目標達成に向け、強く明るく励んできたことにあると言えるだろう。

ところが、平成2年度から13年度まで12年間の黒字を続けていく内に、「全社一丸」の企業風土が少し薄れてきた。経営が安定したと言っても、全て過去の「おしまい造船所」と言われた「瀕死の大島」との比較論に過ぎない。
最大の問題は、部門のリーダーが成長するにつれて、各部門の力が相対的に強くなり、肝心の組織間の風通しが悪くなってきていることである。
これは一面から見ると、部門のリーダーが成長した証でもあるが、組織間の風通しを良くし、相乗効果を出すためには、一体感を醸成することが必要となってきた。

そもそも中小企業精神とは、①情報の伝達距離が短い、②意思決定が早い、③和と団結が強固で、その結果小回りが利くということである。この精神に基づく「全社一丸」を忘れかけているところに、危険の芽を孕んでいるのではないか。情報の伝達を妨げている要因は何か、意思決定が遅れているとすればそれは何故か、和と団結が疎かになっていないか。

これらの問題について、13年10月3日から5日まで大島アイランドホテルで、全常勤取締役及び関係部課長35名が出席し、部門別に着席して、徹底的な議論が行われた。これは「腹蔵なき議論」と言われ、その目的は16年度の目標利益達成に向けての「全社一丸」体制の再構築である。

世界経済及び日本経済の悪化に伴い、産業・金融は危機的状況にある。そこでは、海運・造船マーケットに何が起こるか判らない。何が起ころうとも困難を切り抜けなければならない。にもかかわらず、社内は黒字が続いたこともあり、緊張感が少し緩んできているのではないか。全出席者が理解し合い、大島の美風である「全社一丸」「明るく強い軍団」を再構築したい。

「一般的に利益が上がらない原因・背景を探ること、即ち、ボトルネックはどこか。これを見つけなければならない。
ボトルネックと指摘された部門は反論する。嫌なことは、口答えや保身のための言い訳を生む。
嫌なことを直視して、どうしてそうなのかを考える。問題の核心が明らかになれば、対応策も考えられる。
問題の核心に届く過程において、嫌なことを指摘した側の問題点も明らかになる。あるいは、指摘した側の方がボトルネックになっていることも見えてくる。
問題の指摘を『自分にとって嫌なこと』と避けるのではなく、組織全体にとっての問題と捉え、その解決に相互努力する。嫌なことを直視して、嬉しいことに変える。嬉しいことは、手応えとなり、皆の幸せにつながる。
自分の部門に限った見方・考え方でなく、会社全体としての視点に立って考えよう。ここから『全社一丸』が始まる。『部分最適』ではなく『全体最適』」

このような趣旨で、2泊3日、深夜まで、侃々諤々たる議論が行われた。皆が自分の意見を言い尽くした。全体の視点で考えた結果、ばらばらに見えた意見も、次第に、まとまっていった。「全社一丸」再構築の時である。
この「腹蔵なき議論」は、単に部門間の意見調整といった枠を超えて、大島造船所が今後とも造船業を継続し、「バルクの大島」という大島ブランドを確立し、業界内で一定の地位を占めることができるかどうかの方向を決める重要な会議であった。
会議の参加者は言いたい事を言い、胸のつかえがおり、すっきりとした気分となった。そして、考えが至高の域に達したことに満悦した。