大島造船所物語
Oshima Shipyard Story

明るく、強く、面白く。
地域と共に歩んできた大島造船所の物語。

企業活動の根本原理・基本原則 – 経営理念・経営方針発表

大島造船所には、設立以来、明文化された経営理念・経営方針がなかった。
創業者南景樹は、大島造船所を束ねる精神的支柱であり、存在そのものが、その一言、一挙手一投足が、経営理念であり、経営方針であった。
南景樹亡き後、
①南景樹を中心且つ頂点とする体制、南景樹固有の企業文化から集団指導体制・普遍的な企業文化へと移行する。
②集団指導体制を整え、より戦略重視の経営に移行していくためには、「海図なき航海」に陥らないように、明文化された指針が必要である。
との理由から「経営理念」並びに「経営方針」を策定することになった。
「経営理念」と「経営方針」の明文化に際しては、南景樹が醸し出していた従来の経営姿勢の中に、革新の息吹を入れ、激動する世界情勢に呼応して、創業者の経営哲学を継承・発展させるのが最良と考えられた。

南景樹は、21世紀にあるべき企業像として、幾つかのキーワードを残した。
一つは、「公平・公正・正義」を実現する企業
一つは、自然環境の保護と無公害を至上命令とし信頼される企業
一つは、働くことの意味と意義を求める者の要求に応えうる企業
一つは、「人」を「人材」として活かす企業

これらの意味するところを踏まえ、激変する世界情勢の中で、企業も個人も生き残るには、普遍的観念・普遍的価値に基づくものが求められるとの観点から
①人類へ「豊かな生活」を提供
②地球の自然環境との調和
③公平・公正・正義を旨とした言動
という世界規模・地球規模の「経営理念」が打ち出され、それに沿った「経営方針」がまとめられた。
この「経営理念・経営方針」は1年がかりで、練り上げられた。経費を切り詰めていた時でもあり、都心のホテルではなく、大阪桜宮のネオン街のうらぶれたホテルの会議室で常勤役員会の討議に付され、採択された。

「経営理念・経営方針」は平成3年の年頭の辞で発表された後、各部門において、全社員の理解と共感を得るため、「経営理念・経営方針策定の経緯」という冊子を配布し、充分な時間をかけて趣旨の説明がなされた。
そのような手順を踏んで、3年4月1日、塗装工場に全社員を集めて「経営理念・経営方針」策定記念式典が開催された。ここに大島造船所の憲法すなわち企業活動の根本原理、基本原則というべき「経営理念・経営方針」が制定された。

企業を支える全ての人々即ち、役員・経基職・一般社員が、共に「高い思考理念と行動原理を持つ」と広く社会に認められ、評価されれば、自ずと企業の評価は定まり、その存在価値は高まる。
その「高い思考理念と行動原理」の規準となるべきものが、「経営理念・経営方針」である。利益とか効率に通じる経営上のノウハウではない。
「高い思考理念と行動原理」を持つことが、企業に所属する人間の言動の質を高め、それが経営の正しい方向の選択、決定を可能にしていくのである。

「経営理念・経営方針」の制定と同時に61・3合理化で延長した年間所定労働時間を2,025時間に復元し、ここにあらゆる合理化の復元が完了した。
全社員もやっと世間並みの労働条件になったと喜び、2度とこのようなことにならないようにしようと誓い合った。

「経営理念・経営方針」は社内の昇格試験その他で必ず暗唱が求められる。暗唱そのものが目的ではなく、会社はその理念を理解してもらいたいと念じている。暗唱できない場合はその理念が理解されていないとみなされる。
そのために、この縮刷版を身につけている社員も多い。また、「高い思考理念と行動原理」を身につけるため、朝礼で唱和している職場もある。

企業活動の根本原理・基本原則 - 経営理念・経営方針発表